タロットの基礎 78枚の構成とカードの歴史
タロットカードは占いの代表格ですが、もともとは占いの道具ではありませんでした。成り立ちを知ると、カードの構成にも納得がいきます。
始まりはカードゲーム
ブリタニカ百科事典によれば、タロットは1430年代のイタリアで成立しました。既存の4スートのカード一組に、特別に絵を描いた21枚の切り札(トリオンフィ)と、番号のない1枚(愚者)を加えたものです。
この特別な札が上位の切り札として機能するカードゲーム——それが最初の姿でした。ニューヨークのモルガン・ライブラリーによれば、現存最古級のデッキは15世紀イタリア、ミラノ公家(ヴィスコンティ家)の注文によるもので、ヴィスコンティ・スフォルツァ版は1456〜58年ごろ。宮廷文化のなかの娯楽であり、芸術表現でした。
78枚の構成
現代の標準的なデッキは78枚です。
- 大アルカナ 22枚:I〜XXIの番号札21枚+番号のない「愚者」
- 小アルカナ 56枚:ワンド・カップ・ソード・コインの4スート。各スートに数札10枚+宮廷札4枚(キング・クイーン・ナイト・ジャック)
占いに使われるようになったのは18世紀後半
ブリタニカ百科事典は、タロットが占いに用いられるようになったのを1780年ごろのフランスとしています。成立から300年以上あとのことです。
2つの代表的なデッキ:現存最古の「タロット・ド・マルセイユ」とされるのは、パリのカード製造者ジャン・ノブレによる1650年ごろのデッキで、フランス国立図書館が所蔵しています。もうひとつが次に述べるウェイト=スミス版です。
ウェイト=スミス版が変えたこと
現在もっとも広く使われているのが、通称「ライダー版」とも呼ばれるウェイト=スミス版です。ヴィクトリア&アルバート博物館の記録によれば、図案はパメラ・コールマン・スミス、企画・監修はアーサー・エドワード・ウェイト。スミスが78枚の制作を依頼されたのが1909年、初版刊行は1910年です。
最大の革新は小アルカナでした。それまで小アルカナはスート記号の反復だけでしたが、スミスが全札に個別の絵柄を与えたことで、絵を見て読み取れるようになりました。世界で1億部以上が流通しているとされます。
なお同館は、長らく「ライダー・ウェイト版」とだけ呼ばれ、スミスの貢献が名称から落とされていたことにも触れています。
おもな出典:
- ブリタニカ百科事典「tarot」
- モルガン・ライブラリー&ミュージアム タロット展解説
- ヴィクトリア&アルバート博物館 所蔵記録(ウェイト=スミス版)
- World of Playing Cards(ジャン・ノブレ版)
本コラムは、占いを文化・歴史・体系として整理し、あわせて消費者トラブルを避けるための一般的な情報をまとめたものです。占いによって将来を言い当てられる、運勢が変わるといった効果を示すものではありません。占いの内容に科学的な裏づけがあることを主張するものでもありません。人生の重要な決定、健康、金銭に関する判断は、占いの結果ではなく、ご自身の判断と、必要に応じて医師・弁護士・公的窓口など専門家への相談にもとづいて行ってください。法令・制度は改正されることがあるため、最新の情報は消費者庁・国民生活センターなど公的機関の発表をご確認ください。