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災害に便乗した悪質商法から身を守る

カテゴリ:安全・注意 / 最終更新日:2026年8月9日

災害のあと、あるいは災害への不安が高まっているとき、それに便乗した勧誘が現れます。数字と手口を、公的資料で確認しておきます。

1. 点検商法の相談件数

国民生活センターがPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)で集計している件数です(2026年7月31日更新)。

年度点検商法訪問販売によるリフォーム工事
2023年度12,550件11,879件
2024年度19,249件9,839件
2025年度19,696件5,544件

点検商法は、2023年度から2024年度にかけて大きく増え、高止まりしています。(PIO-NETのデータは登録の時間差により後日更新されるため、直近年度の数値は暫定的なものです。)

2. 消防庁が公表した消火器の訪問販売

総務省消防庁は「消防関係製品の悪質な訪問販売・詐欺等について」というページで、実際の事例を公表しています。令和6年は計12件。挙げられている手口は次のようなものです。

  • 「消火器の点検、交換時期になりました」と電話をかけ、訪問販売につなげる
  • 消防職員を名乗る人物が、家族構成や避難能力を電話で質問する(佐賀県で多発)
  • 能登半島地震を理由に防災グッズ販売を勧誘
  • 住宅用火災警報器の電池残量確認を名目とした訪問
消防庁の記載より:「消防署の依頼」「有効期限切れのため交換必須」と称し18,000円程度を請求する事例。実際には消防署からの依頼ではなく、交換義務もありません。

ここで、このコラムの他の記事で確認した事実が効いてきます。

  • 一般の戸建住宅に、消防法上の消火器設置義務はありませんこちら)。
  • 住宅用火災警報器の「10年で交換」は義務ではなく、消防庁の推奨ですこちら)。

「法律で義務だから」という説明が出てきたら、それだけで疑う理由になります。

3. 地震に便乗した詐欺

国民生活センターは2025年12月24日、「地震に便乗した詐欺的トラブルにご注意ください!-義援金や寄付を集めるという不審な電話・訪問に注意!-」を公表しています。また「ご用心 災害に便乗した悪質商法」というテーマ別特集も設けられています。

2025年1月15日には「『分電盤の点検に行きます』の電話から始まる勧誘に注意」も公表され、契約者の約8割が70歳以上であることが示されています。ご高齢の家族がいる場合は、共有しておく価値のある情報です。

4. クーリング・オフ(特定商取引法第9条)

訪問販売で契約してしまった場合、一定期間内であれば無条件で解約できます。

特定商取引法第9条(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
「第五条第一項又は第二項の書面を受領した日から起算して八日」以内であれば、書面により申込みの撤回または契約の解除ができます。

国民生活センターは「クーリング・オフ期間を過ぎてしまっても解約できる場合もあります」とも書いています。8日を過ぎたからと諦めず、まず相談してください。

また、うそを言われたり、不利になる事実をわざと言わなかったりして契約させられた場合は、特定商取引法第9条の3により意思表示を取り消せる場合があります(追認できる時から1年で時効消滅)。

5. 頼んでいない防災グッズが届いたら(送りつけ商法)

2021年の特定商取引法改正(令和3年法律第72号、令和3年7月6日施行)で、対応が大きく変わりました。

特定商取引法第59条にもとづき、消費者庁は次のように案内しています。
「注文や契約をしていないにもかかわらず、金銭を得ようとして一方的に送り付けられた商品については、消費者は直ちに処分することができるようになります」
売買契約は成立しておらず、代金を支払う必要はありません
開封や処分を行ったことによって、消費者に支払義務が生じることはありません

以前は「14日間保管」が必要でしたが、現在はその必要がありません。事業者は返還を請求できません。

ただし、自分が注文したかどうか記憶があいまいな場合は、処分する前に確認してください。家族が注文していた、というケースもあります。

6. 相談先

  • 消費者ホットライン 188(いやや)——お近くの消費生活センター等につながります。
  • お住まいの市区町村の消費生活センター
  • 警察相談専用電話 #9110——詐欺が疑われる場合。緊急時は110番。

まとめ

点検商法の相談は年間約2万件。「消防署の依頼」「法律で義務」は、まず疑う。一般住宅に消火器の設置義務はなく、警報器の10年交換も義務ではありません。契約してしまったら8日以内のクーリング・オフ、届いた覚えのない商品は代金支払い不要・直ちに処分可。迷ったら188へ。

おもな出典:
  • 国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日更新)
  • 国民生活センター「地震に便乗した詐欺的トラブルにご注意ください!」(2025年12月24日)
  • 国民生活センター「『分電盤の点検に行きます』の電話から始まる勧誘に注意」(令和7年1月15日)
  • 総務省消防庁「消防関係製品の悪質な訪問販売・詐欺等について 令和6年」
  • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第9条・第9条の3・第59条
  • 消費者庁 特定商取引法ガイド「売買契約に基づかないで送付された商品に関するQ&A」
本コラムは、内閣府・総務省消防庁・気象庁・農林水産省・消費者庁・国民生活センター・NITE(製品評価技術基盤機構)など、公的機関が公表している資料をもとに一般的な情報を整理したものです。特定の商品の性能や、災害時の安全を保証するものではありません。法令・ガイドライン・統計は改正・更新されることがあるため、最新の情報は各機関およびお住まいの自治体の発表をご確認ください。実際の避難行動は、そのときの状況と自治体が発令する避難情報、現場の指示に従ってください。