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リチウムイオン電池の事故と、正しい捨て方

カテゴリ:安全・注意 / 最終更新日:2026年8月9日

防災用に買ったモバイルバッテリーやポータブル電源が、逆に火災の原因になる——そんな事故が増えています。数字で確認します。

1. NITEの最新統計(2026年7月15日公表)

NITE(製品評価技術基盤機構)が公表した集計です。

2021年~2025年の5年間で、リチウムイオン電池搭載製品の事故 2,140件。うち火災 1,901件(約88.8%)。リコール対象製品による火災は139件。

年別の推移は、2021年301件 → 2022年358件 → 2023年415件 → 2024年505件 → 2025年561件。増え続けています。

製品別(5年計)では、モバイルバッテリー506件が最多で、電動アシスト自転車205件、充電式掃除機167件、充電式電動工具165件、ポータブル電源147件と続きます。

モバイルバッテリー単体で見ると、2021年51件 → 2022年56件 → 2023年82件 → 2024年125件 → 2025年192件。2021年比で約3.8倍です。

また、NITEの「2025年度事故情報収集報告書」(2026年5月29日公表)では、製品群別の1位が「充電器」188件となり、2位「バッテリー類」145件を上回りました。2025年度に初めて順位が入れ替わっています。

数字を扱うときの注意:「2,140件」は暦年ベース、「1,266件(2025年度の事故発生件数)」は年度ベースで、集計単位が違います。混同しないようご注意ください。

2. なぜ燃えるのか

NITEが挙げている原因は、内部ショート(正極板と負極板が電気的につながる)、高温環境での異常発熱、湿気の浸入による劣化、外部からの衝撃です。そして「リチウムイオン電池には可燃性の電解液が含まれている」という前提があります。一度発熱が始まると、自ら燃え続けてしまう性質があるということです。

3. NITEが示す「3つのC」

  1. 賢く選ぶ(Cool Choice)——「販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報を確認する」
  2. 丁寧に使う(Careful use)——「高温となる場所では使用・保管しない」「強い衝撃や圧力を加えない」
  3. 正しく捨てる・資源循環(Correct disposal with better recycling)——「リチウムイオン電池の使用の有無を確認する」「メーカー回収や自治体の回収区分等の廃棄方法を確認する」

発火してしまった場合の対処についても記載があります。「大量の水で消火し、可能な限り水没させた状態で、119番通報する」

防災備蓄の文脈で特に気をつけたいのは2点目です。「備蓄品だから」と車のトランクに入れておくのは、高温環境での保管にあたります。カセットボンベと同じく、リチウムイオン電池も車内保管には向きません。

4. 捨て方——ごみに混ぜると火災になります

NITEは2023年6月29日、「ごみ捨て火災」について公表しています。

「ごみに混入したLIB(リチウムイオン電池)の発火などによる被害額は、2018年度から2021年度の4年間でおよそ111億円

ごみ収集車や処理施設のなかで押しつぶされて発火する、という事故です。示されている捨て方は次のとおりです。

  • 「一般社団法人JBRCの会員企業の電池(表面にリサイクルマークの表示があり、破損・変形がないもの)は、排出協力店または協力自治体に持ち込む
  • 「LIBが使用されている製品を、分別方法など含め各自治体の指示に従って正しく捨てる
  • 「メーカーや販売店による製品の回収サービスを利用する
  • 放電してから(電池を使い切ってから)捨てる」

5. 2026年4月から新しい回収制度

資源有効利用促進法の改正により、令和8年(2026年)4月1日から、指定再資源化製品に3品目が追加されました。

  • 電源装置(モバイルバッテリー等)
  • 携帯電話用装置(スマートフォン等)
  • 加熱式たばこデバイス

あわせて「廃棄物処理法の特例(適正処理の遵守を前提として業許可不要)を講じ、回収を促進」するとされています。今後、回収窓口が増えていくことが見込まれます。捨て方についての情報は、いま更新が続いている分野です。お住まいの自治体の最新の案内を確認してください。

まとめ

事故は増え続けています(モバイルバッテリーは2021年51件→2025年192件)。高温の場所に置かない・衝撃を加えない・ごみに混ぜない。捨てるときは自治体の区分、JBRCの協力店、メーカー回収を確認。2026年4月から回収制度が拡充されています。

おもな出典:
  • NITE「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を ~「リチウムイオン電池搭載製品」は3つのCで事故を防ぎましょう!~」(2026年7月15日)
  • NITE「2025年度事故情報収集報告書」(2026年5月29日公表)
  • NITE「『ごみ捨て火災』、被害は100億円超え!~充電式電池は正しく捨てましょう~」(2023年6月29日)
  • 経済産業省「資源有効利用促進法における取組について(指定再資源化製品:リチウム蓄電池関連)」(2026年2月)
  • リチウムイオン電池総合対策関係省庁連絡会議「リチウムイオン電池総合対策パッケージ(個別施策集)」(令和7年12月22日)
本コラムは、内閣府・総務省消防庁・気象庁・農林水産省・消費者庁・国民生活センター・NITE(製品評価技術基盤機構)など、公的機関が公表している資料をもとに一般的な情報を整理したものです。特定の商品の性能や、災害時の安全を保証するものではありません。法令・ガイドライン・統計は改正・更新されることがあるため、最新の情報は各機関およびお住まいの自治体の発表をご確認ください。実際の避難行動は、そのときの状況と自治体が発令する避難情報、現場の指示に従ってください。