リチウムイオン電池の事故と、正しい捨て方
防災用に買ったモバイルバッテリーやポータブル電源が、逆に火災の原因になる——そんな事故が増えています。数字で確認します。
1. NITEの最新統計(2026年7月15日公表)
NITE(製品評価技術基盤機構)が公表した集計です。
年別の推移は、2021年301件 → 2022年358件 → 2023年415件 → 2024年505件 → 2025年561件。増え続けています。
製品別(5年計)では、モバイルバッテリー506件が最多で、電動アシスト自転車205件、充電式掃除機167件、充電式電動工具165件、ポータブル電源147件と続きます。
モバイルバッテリー単体で見ると、2021年51件 → 2022年56件 → 2023年82件 → 2024年125件 → 2025年192件。2021年比で約3.8倍です。
また、NITEの「2025年度事故情報収集報告書」(2026年5月29日公表)では、製品群別の1位が「充電器」188件となり、2位「バッテリー類」145件を上回りました。2025年度に初めて順位が入れ替わっています。
2. なぜ燃えるのか
NITEが挙げている原因は、内部ショート(正極板と負極板が電気的につながる)、高温環境での異常発熱、湿気の浸入による劣化、外部からの衝撃です。そして「リチウムイオン電池には可燃性の電解液が含まれている」という前提があります。一度発熱が始まると、自ら燃え続けてしまう性質があるということです。
3. NITEが示す「3つのC」
- 賢く選ぶ(Cool Choice)——「販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報を確認する」
- 丁寧に使う(Careful use)——「高温となる場所では使用・保管しない」「強い衝撃や圧力を加えない」
- 正しく捨てる・資源循環(Correct disposal with better recycling)——「リチウムイオン電池の使用の有無を確認する」「メーカー回収や自治体の回収区分等の廃棄方法を確認する」
発火してしまった場合の対処についても記載があります。「大量の水で消火し、可能な限り水没させた状態で、119番通報する」。
防災備蓄の文脈で特に気をつけたいのは2点目です。「備蓄品だから」と車のトランクに入れておくのは、高温環境での保管にあたります。カセットボンベと同じく、リチウムイオン電池も車内保管には向きません。
4. 捨て方——ごみに混ぜると火災になります
NITEは2023年6月29日、「ごみ捨て火災」について公表しています。
ごみ収集車や処理施設のなかで押しつぶされて発火する、という事故です。示されている捨て方は次のとおりです。
- 「一般社団法人JBRCの会員企業の電池(表面にリサイクルマークの表示があり、破損・変形がないもの)は、排出協力店または協力自治体に持ち込む」
- 「LIBが使用されている製品を、分別方法など含め各自治体の指示に従って正しく捨てる」
- 「メーカーや販売店による製品の回収サービスを利用する」
- 「放電してから(電池を使い切ってから)捨てる」
5. 2026年4月から新しい回収制度
資源有効利用促進法の改正により、令和8年(2026年)4月1日から、指定再資源化製品に3品目が追加されました。
- 電源装置(モバイルバッテリー等)
- 携帯電話用装置(スマートフォン等)
- 加熱式たばこデバイス
あわせて「廃棄物処理法の特例(適正処理の遵守を前提として業許可不要)を講じ、回収を促進」するとされています。今後、回収窓口が増えていくことが見込まれます。捨て方についての情報は、いま更新が続いている分野です。お住まいの自治体の最新の案内を確認してください。
まとめ
事故は増え続けています(モバイルバッテリーは2021年51件→2025年192件)。高温の場所に置かない・衝撃を加えない・ごみに混ぜない。捨てるときは自治体の区分、JBRCの協力店、メーカー回収を確認。2026年4月から回収制度が拡充されています。
- NITE「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を ~「リチウムイオン電池搭載製品」は3つのCで事故を防ぎましょう!~」(2026年7月15日)
- NITE「2025年度事故情報収集報告書」(2026年5月29日公表)
- NITE「『ごみ捨て火災』、被害は100億円超え!~充電式電池は正しく捨てましょう~」(2023年6月29日)
- 経済産業省「資源有効利用促進法における取組について(指定再資源化製品:リチウム蓄電池関連)」(2026年2月)
- リチウムイオン電池総合対策関係省庁連絡会議「リチウムイオン電池総合対策パッケージ(個別施策集)」(令和7年12月22日)