ローリングストックとは 定義と、続けるためのしくみ
備蓄でいちばん難しいのは、買うことではなく続けることです。押し入れの奥にしまった非常食が、気づいたら全部期限切れだった——よくある話です。
1. 農林水産省が示す定義
「ローリングストック」という言葉を公式に使っているのは農林水産省です。「災害時に備えた食品ストックガイド」では、次のように定義されています。
近畿農政局の資料には、より完全な形で書かれています。「……消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法」。目的は「特別なものを買うこと」ではなく、一定量が常に家にある状態を維持することだという点がポイントです。
2. 東京都は「日常備蓄」と呼ぶ
同じ考え方を、東京都は「日常備蓄」という言葉で説明しています。
都民の備蓄推進プロジェクトのキャッチフレーズ:「日常備蓄 少し多めに購入 食べる・使う」
言葉は違いますが、中身は同じです。どちらの用語で検索しても、同じ考え方の資料にたどりつきます。
3. 回せるもの・回せないもの
ローリングストックは万能ではありません。普段から食べる・使うものでなければ回りません。
- 回しやすい——米、レトルト食品、缶詰、乾麺、インスタント味噌汁、水、カセットボンベ、トイレットペーパー、ラップ、電池
- 回しにくい——5年保存の非常食セット、携帯トイレ、ヘルメット、救急セット
回しにくいものは、ローリングストックではなく「期限を控えて、期限が来たら入れ替える」という管理に切り替えるほうが現実的です。買った日と期限をメモしておき、年に1回、決まった日にまとめて点検する。防災の日(9月1日)や、住宅用火災警報器の点検と同じタイミングにそろえると忘れにくくなります。
4. 農林水産省が示す1週間分の例(大人2人)
具体的な量のイメージとして、食育ガイドに挙げられている例を紹介します。
| 米 | 2kg×2袋(1人1食75g程度) |
|---|---|
| 水 | 2L×6本×4箱(1人1週間分は21リットル) |
| カセットボンベ | 12本(1人1週間で約6本程度) |
| 缶詰 | 18缶 |
| レトルト食品 | 牛丼の素など18個、パスタソース6個 |
| パックご飯 | 6個 |
| 乾麺 | そうめん2袋、パスタ2袋 |
これに調味料、スープ類、野菜ジュース、菓子類が加わります。同省のガイドは、災害直後は炭水化物に偏りやすく、タンパク質やビタミン・ミネラル・食物繊維が不足しがちだという点にも触れています。
まとめ
ローリングストックは「少し多めに買う→古いものから食べる→買い足す」の3つだけです。普段食べるものを対象にすると回りますが、非常食専用品や携帯トイレなど普段使わないものは、期限を控えて年1回入れ替えるという別の管理にしたほうが確実です。
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(平成31年3月)
- 農林水産省 近畿農政局「災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう」(令和元年8月)
- 農林水産省 食育ガイド「いざという時のために 災害への備え」
- 東京都「東京防災」/都民の備蓄推進プロジェクト