水の備え方 1人1日3リットルと、保存水の賞味期限
備蓄のなかで、いちばん量がかさばり、いちばん代わりがきかないのが水です。ここでは公的機関が示している数量と、賞味期限のしくみを整理します。
1. 1人1日3リットル その内訳
「1人1日3リットル」は、首相官邸・消防庁・内閣府など複数の機関が共通して示している目安です。ただし、この3リットルが何に使う水なのかを明記しているのは農林水産省の資料です。
同省の家庭備蓄ポータルでも「飲料用と調理用だけで一人当たり1日3リットルの水が必要と言われており、最低3日分として9リットルの備蓄が必要になります」と書かれ、あわせて「湯せん、食品や食器を洗ったりする水は別途必要です」と注記されています。
つまり3リットルは飲む水と調理用の水の合計であって、手や食器を洗う水は含まれていません。1週間分なら1人21リットル、2リットルのペットボトルで約11本です。
2. 生活用水は別に考える
トイレを流す、体を拭く、洗い物をする——こうした生活用水は、飲料水とはまったく別枠です。東京防災は「断水になると、最も困るのは、生活用水が使えなくなること。いざというときに備えて、常に風呂に水を張っておきましょう」と書いています。ポリタンクでの確保も、首相官邸のページで挙げられています。
3. 保存水と普通のミネラルウォーターの違い
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」第5章には、次の記載があります。
「水道水は、塩素による消毒効果により3日程度は、飲料水として使用可能」
公的資料で年数まで確認できるのは、この水についての記載です。非常食(アルファ化米・レトルト・缶詰など)の保存年数は、公的資料では確認できませんでした。商品ごとの表示を確認してください。
4. 「保存水の賞味期限は計量法による」は誤りです
ペットボトルの水の賞味期限について、「中身が蒸発して内容量が減ると計量法違反になるから期限が付いている」という説明を見かけることがあります。これは公的資料によって明確に否定されています。
経済産業省のサイトに掲載されている参考資料「ペットボトル水の賞味期限に関するお問い合わせ」は、計量法が求めているのは販売時点の内容量表示であって、表示した内容量が保持される期限を表示する義務はないこと、賞味期限は食品表示法(食品表示基準)にもとづく表示であることを示しています。静岡県富士市も、情報源を経済産業省計量行政室として「ペットボトル入り飲料水の賞味期限は、計量法の規定によるものではありません」と注意喚起しています。
では、なぜ保存水の期限は「年月」までしか書かれていないのか。これは食品表示基準第3条第1項の規定によるものです。製造・加工の日から賞味期限までの期間が3か月を超える場合は、年月表示にすることが認められています。5年・10年もつ保存水が年月表示なのは、これで説明がつきます。
5. 買うときに見るところ
- 期限の表示——「賞味期限」の年月。長期保存をうたう商品は年月表示が一般的です。
- 1リットルあたりの価格——ボトルの容量がまちまちなので、総額だけでは比べられません。
- 保管場所に置ける形か——2リットル6本入りの箱が何箱置けるかは、家庭ごとに事情が違います。
まとめ
水は1人1日3リットル(飲用+調理)、3日で9リットル、1週間で21リットル。生活用水は別枠。保存水の期限は食品表示法にもとづくもので、計量法とは関係ありません。
- 農林水産省 食育ガイド「いざという時のために 災害への備え」
- 農林水産省 家庭備蓄ポータル「大事な水、どうやって備えますか?」
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」第5章
- 経済産業省サイト掲載「【参考】ペットボトル水の賞味期限に関するお問い合わせ」
- 静岡県富士市「ペットボトル水の賞味期限に関する誤解への注意喚起」(2025年5月15日)
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条第1項